「松原天然温泉You,ゆ~」が30日夜に閉館、31年間の歴史に幕

地下1,500メートルを掘削し湧き出た、鉄分やミネラル豊富な赤湯を源泉かけ流し式で楽しめる温浴施設は大阪では珍しく、1992年4月29日の開館以来、今日まで近隣の方々の憩いの場所となってきました。そんな『松原天然温泉You,ゆ~』は、沢山の人に惜しまれつつも、31年の歴史に幕を閉じることとなりました。
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松原天然温泉You,ゆ~について
当施設は、健康ランドブーム真っただ中の1992年、大阪府の松原市に開業いたしました。近くにはバッティングセンターや飲食店が立ち並び、一日中楽しめる施設として子供からお年寄りまで幅広い年代の方に親しまれてきました。開店当初は、地域の方に無料で入浴していただいたり、お得な回数券を配布したところ施設のキャパシティが1,000~1,500人のなか、2,500人もの来場者が殺到。館内は人で溢れ、赤い絨毯が敷かれた階段には、休憩所に入りきらなかった人たちがひしめき合って座り、その光景はまるでひな壇に並ぶひな人形を彷彿させるほどだったといいます。
開業から17年後の2009年には、施設の大規模なリニューアルに伴い、熱い温泉が苦手な人でもゆっくりと赤湯の温泉を楽しめるようにと、低温度の炭酸泉や信楽焼の湯、ねころび湯などを新たに設置しました。また現在、若者中心にレトロブームが到来しており、内装の昭和感や、館内着「ムウムウ」の花柄のデザインが新鮮に映り、今でも老若男女、沢山の人に利用されています。
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温泉を介した地域住民との関わり
「松原天然温泉You,ゆ~は、人の良さがある。開館当初から大切にしていることは、温泉を介した人と人との繋がりです。」と語るのは勤続23年の山本美幸支配人。雨が降ったら「雨が止むまで、もう少しゆっくりしていったらどうですか」、「気を付けて帰ってくださいね」などスタッフとお客様の間で自然と気遣う会話が生まれるといいます。また、以前は50センチほどの小さな赤いポストをフロントに設置し、お客様からの声をお手紙として直接いただくなどアットホームな関係性が築かれていました。そんな館内全体の暖かな雰囲気が、何度も足を運びたくなる理由なのでしょう。
また、山本支配人の「繋がり」を大切にする性格は人だけにとどまりません。駐車場が広い当施設では、ペットとして飼いきれなくなった動物たちが、飼い主に捨てられてしまうことが何度かありました。「保健所に連れていくことは心苦しくてどうもできない。」と、彼女は捨てられた目の不自由な犬を、その後10年間飼い続けたといいます。
そんな彼女が支配人を務める当施設は、世代を超えて愛されてきました。開館当初から通い続け従業員よりも施設に詳しいお客様や、当時両親に連れて来てもらっていた男の子が、今度は奥さんと子供を連れて来てくれることもあり、山本支配人は「勝手におばあちゃんになった気持ちで迎えている」とほほ笑みながら話してくれました。
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惜しむ声続々
人と人との繋がりを大切にしてきた施設だからこそ、7月に閉館の告知をして以降、閉館を惜しむ声は絶えません。閉館までの日数を指折り数えては「この日はいるの?」と従業員に会うことを楽しみにしている方や、「本当にいい温泉なのに。」「これから休みの日はどこに行けばええねん。」と閉館を惜しむ人も大勢いらっしゃいます。「この松原温泉You,ゆ~を、皆さんの心の中に、一つの思い出として残していただけたら嬉しい」というのが従業員みんなの想いです。
老舗の温浴施設が次々と閉館となる中、ついに松原天然温泉You,ゆ~も惜しまれつつも閉館を迎えます。31年間の感謝と共に、施設での時間を最後まで楽しんでいただけることを、従業員一同心より願っています。