【2024年1月OPEN】隈研吾氏が商店街の築52年の空き店舗にカフェをデザイン
世界的建築家×建築板金職人×地域工務店のコラボレーション ~神社の屋根を再利用した緑青銅板外壁~
屋根や外壁などの建物の外装工事を中心に、近年は板金の折鶴や壁掛けオブジェの製作販売事業を展開する株式会社ウチノ板金は2024年1月19日、神社の屋根で実際に使用されていた緑青銅板を外壁に再利用した「和國商店(わくにしょうてん)」を、隈研吾建築都市設計事務所のデザイン監修、岡庭建設株式会社の設計・施工により東村山市の青葉商店街に開業することをお知らせします。
和國商店とは
和國商店(わくにしょうてん)は屋根や外壁などの板金を手掛けるウチノ板金の工芸品ブランドで、板金の折鶴は海外のファンも多く、2022年からはフランス・ドイツの学校・大使館・公的機関、国内では代官山蔦屋書店で板金折鶴製作のワークショップも開催し、日本文化・板金技術を海外に伝える活動も行っています。
■和國商店(ブランドサイト)
https://www.wakuni.shop/
■和國商店カフェ(Instagram)
https://www.instagram.com/wakuni_cafe/
■ウチノ板金 (運営会社)
https://www.uchinobankin.co.jp/
■和國商店 板金折鶴プロモーション動画
他にもフランス人作家とコラボレーションした板金製の動物をモチーフにした壁掛けオブジェは、海外のレストランからの注文もあり、建築板金の技術を用いた作品として人気です。
新店舗「和國商店」のテーマ
このプロジェクトは、幼少期に青葉商店街で育ったウチノ板金の代表の内野友和が、この商店街の文化を活用し、地域活性・空き家の利活用・建築廃材の再利用・職人不足・技術継承などの様々な問題を少しでも解決できないかと、隈研吾氏に話を持ち掛けたところから始まりました。
この和國商店がきっかけとなり、人と人が繋がり、連綿と受け継がれてきた、青葉商店街が新たな価値を生み出す場所になることを願っています。
■隈研吾さんが僕の会社のデザイン監修を引き受けてくれた時の話(note)
https://note.com/tomokazu_uchino/n/nca60e7c80ec6
店舗のこだわり
店舗の内外装は隈研吾氏のデザインとウチノ板金の建築板金の技術を掛け合わせて作り上げたものになります。
独創的な外壁は約700個の緑青銅板によって形成されています。
この緑青銅板は約60~100年前から広島県廿日市市の速谷神社の屋根で使用され、自然にできた緑青銅板を回収し、板金職人の加工技術によって形を変え、再利用しています。
また金属外装材メーカーのタニタハウジングウエア株式会社(東京都板橋区)が独自開発した高速緑青生成技術を駆使した人工緑青銅板も使用し、自然緑青銅板と調和した特徴的な外壁仕上げになります。
屋外に置かれる椅子は旧国立競技場で使用されていた座面を再利用し、隈研吾氏がデザイン。
椅子の脚部分には人工緑青銅板を使用し、板金職人とのコラボレーションで完成した椅子です。
店内の壁は板金職人が手加工した真鍮の作品を際立たせるように黒漆喰で表現。
キッチン、ランプシェード、シンク、巾木等、細部の板金は真鍮板で彩り、板金職人のものづくり精神と遊び心を忘れないデザインで施されています。
懐かしい木のぬくもりと斬新な板金技術が共存するユニークな空間は、訪れる人に新たな感覚をもたらします。
建物の躯体は地域工務店の一流大工の技によって蘇らせ、性能向上をも達成。
築52年の店舗で使われていた古い柱や梁などを再利用するため、基礎を補強し、新しい木材などで支えています。
内装の細部に至るまで、技と創造力が息づいており、日本の建築職人の技を随所に感じることができます。
店舗で提供するコーヒーは岡山県のキノシタショウテンの焙煎士が海外のコーヒー農園に直接出向き風土を感じ、生産者さんの想いも煎ったスペシャルティーコーヒーです。コーヒー職人がこだわって作った和國商店オリジナルブレンドコーヒーの販売もします。
■キノシタショウテン
店内の椅子・テーブル・食器等で使用する什器は和國商店のコンセプトに共感した職人の手仕事品を選び、手仕事ならではの美しさと愉しさを味わうことができます。
■伊藤 環 / 陶芸家(写真左上)
https://www.instagram.com/ichi_tas_zero/
■森 幸太郎 / 木工家具職人(左中央)
https://www.instagram.com/mokkou.mori/
■寺園 証太 / 陶芸家(左下)
https://www.instagram.com/shota_terazono/
■樫原ヒロ / カトラリー作家(中央)
https://www.instagram.com/hiro.kashihara/
■佐藤木材容器 / 木工職人(中央下)
https://www.instagram.com/sato_mokuzai_youki/
■KITAWORKS / 家具職人(右上)
https://www.instagram.com/kitaworks/
■ニコラ・ギリス / 陶芸家(右下)
https://www.instagram.com/nicolagillis/
プロジェクト動画
■和國商店プロジェクト #1
■和國商店プロジェクト #2
■和國商店プロジェクト #3
プロジェクトについて
隈研吾建築都市設計事務所 隈研吾氏(デザイン監修)
「僕は日本の板金の技術は世界一だと思っています。その世界一の日本の中でも、飛び抜けた技を持つウチノ板金の職人技術を世界にアピールしながら、青葉商店街再スタートの象徴となるような建物をデザインしようと思いました。商店街ならではの建築スケールを残しながら、ファサードから家具まで様々なスケールを板金で製作することで、かつて賑わっていた商店街の歴史と、新たな商店街の未来とを繋ぐ架け橋を作ります。普段屋根や外壁で目にしている板金にはこんな使い方があるんだ、と驚いてもらえるような空間になります。東村山の子どもからお年寄りまで、みんなが気軽に立ち寄れる街のカフェとして、人々に愛され続けるコミュニティの場となることを願っています。」
・ウェブサイト:https://kkaa.co.jp/
岡庭建設 専務取締役 池田浩和氏(設計・施工)
「僕は工務店として職人集団としてのウチノ板金と共に様々な建築を共にし、磨き抜かれた板金技術を長年にわたり目にしてきました。その職人技術をより今後の成熟社会に活かしていくために、今回はあえて既存の建築物再生(リノベーション)に挑戦しています。築年数が経過した建物は見え隠れや、想定と異なることも多く設計も施工も技術を要します。象徴的な建築デザインと性能向上にも挑んでいくので、より高い板金、職人技術が不可欠です。だからこそ、建築家・板金職人・地域工務店、高い技術を結集し、想いの具現化にかけたエネルギーが商店街や地域に伝承されていくことでしょう。そして「建築」と「場」から商店街の活性化を願うと共に、今後もその活動と歴史を応援し続けて行きたいと思います。」
・ウェブサイト:https://www.okaniwa.jp/
メッセージ
東村山市長 渡部尚氏
「 戦後、急激に住宅開発された東村山市青葉町の生活を支えた青葉商店街に和國商店は立地します。 青葉商店街は、客と店員はツーカーで、駄菓子屋や少年誌が発売前に買える文房具屋など子どもの遊び場、夏祭りなどもあり、暮らしと楽しみに満ちた場所でしたが、現在は青葉町のまち自体が更新時期を迎え、変化に果敢に挑み、新たな未来を切り拓く必要があります。 ウチノ板金さんの技術継承・価値創造の取組み、例えば、隈研吾さんや海外アーティストとのコラボのように様々な人がつながりアートやコミュニティといった文化を地域に根差させる取組みは、まさにこれにあたるものです。 本事業が当市のまちづくり・人づくりにとって素晴らしいものになることを期待しています。」