虐待を経験した70名が出演するドキュメンタリー が全編無料公開!自身も当事者の監督「ひとりでも多くの人に知ってもらいたい」
タイトルは“REALVOICE”。「虐待は大人になって終わりじゃない」「過去の自分は救えなくても、未来の子ども達へ繋げ日本を変えたい」という当事者たちの思い。
写真:完成披露上映会の様子。左からメインキャストの阿部紫桜、監督の山本昌子、主題歌を提供した加藤登紀子。
児童虐待を経験し、大人になった今も虐待の後遺症や生きづらさを抱える若者達の声を集めたドキュメンタリー映画”REALVOICE”(87分)が4月に完成しました。
監督した山本昌子(30)は自身も虐待を経験した当事者であり「ひとりでも多くの人に知ってもらいたい」という強い思いから、公式サイトとYouTubeで全編無料公開しました。
4月12日に六本木で行われた完成披露上映会では約570人の観客が訪れ、上映後の舞台挨拶ではメインキャストの阿部紫桜(20)と監督した山本の挨拶の他、歌手の加藤登紀子が駆けつけ映画の主題歌として提供した楽曲「この手に抱きしめたい」を披露しました。
※主題歌「この手にだきしめたい」を歌う加藤登紀子
企画・監督をした山本昌子は、実親からのネグレクトを受け保護され、生後4か月から19歳まで乳児院、児童養護施設、自立援 助ホームで育ちました。
現在は児童養護施設を退所した若者や親を頼ることができない若者の支援を行うボランティア団体「ACHAプロジェクト」の代表を勤めます。
日々たくさんの若者と接する中で、子どもの頃に虐待を受けたことで今も苦しんでいる若者達の現状を知った。「虐待は大人になって終わりじゃない」そう感じた山本は、ボランティア団体を通して繋がりのある全国各地の若者たちのリアルな声をカメラに収め、映画を制作するに至りました。
※映画について語る監督の山本昌子
※左から 映画について語る山本昌子、阿部紫桜
<ドキュメンタリー映画「REALVOICE」(87分)>
物語は大きく3つのパートが同時進行する。
虐待環境で育った経験のある全国各地の当事者が出演し、それぞれの思いを語るショートメッセージ。
貧困と虐待の子ども時代を生き抜いた女性が自身の半生を語るロングインタビュー。
子ども時代に虐待で保護され児童心理施設で育った経験を持つ20歳を迎えた大学生が、日常生活の中で自分を虐待した親と向き合う葛藤に密着した物語。
虐待を経験した若者たち、それぞれの思いと生の声をフィルムに刻んだ。
主題歌は加藤登紀子「この手に抱きしめたい」、挿入歌は一青窈「耳をすます」。ミュージシャンの二人は映画のコンセプトに共感し、楽曲を無償提供した。
◆映画の感想
完成披露上映会に参加した NPO法人「あなたのいばしょ」理事長 大空幸星は映画の感想を寄せています。
”これは社会的養護出身のこども若者たちを描いた「リアル」な映画です。映画の中で描かれている当事者たちの声はどれも重い。社会の理不尽を浴び続け、自らの状況を達観しているからこそ紡ぎ出される重い言葉。大人たちの綺麗事など通用するはずがありません。社会の制度や法律など高尚な議論の前に、この「リアル」を多くの人に知ってほしいと思います。山本監督により、現代に生きる社会的養護のこども若者たちが置かれた現状が具に描かれています。教育関係者・福祉関係者のみならず、こども若者に関わる全ての人に観てほしい。ここには嘘偽りのない「リアル」があります。”
※写真左 NPO法人「あなたのいばしょ」理事長 大空幸星
◆”全編無料公開”のポリシー
ひとりでも多くの観客に作品を届けたいという思いから、映画“REALVOICE” は同日20時に公式サイトから全編無料公開され、その後YouTubeでも視聴可能となった。
企画のスタート段階よりクラウドファンディングで製作資金を集め、出演者やスタッフも全てボランティアで作られた作品である。多くの人に虐待の現状を知ってもい、当事者の声を届ける事を優先し無料公開に拘った。そのため、今後の上映イベントなども可能な限り無料で行う予定となっている。
<作品情報>
タイトル:REALVOICE
完成日:2023年4月1日
尺:87分40秒
企画・監督:山本昌子
監督補・撮影補・編集:西坂來人
音楽:加藤登紀子、一青窈
出演:阿部紫桜、山本あや、他
制作:ACHAプロジェクト
視聴方法
オフィシャルサイトから:https://real-voice.studio.site/
YouTubeから:https://youtu.be/R8LhlmtvBMs
予告編
メインビジュアルとポスター
本編(87分)