福生市にあるイタリアンレストラン『イタリア亭 Rione』をはじめ数店舗のオーナーシェフとして活躍される伊藤瞬さん。自身のお店を切り盛りするとともに、GRES高等学院(通信制高校・東京都昭島市)に通う学生を対象に調理実習のボランティアを8年間続け、また、学生が運営するレストラン『青春食堂2025』のプロデュースも手掛けています。
伊藤さんはなぜ、学生たちとのコミュニケーションを大切にしているのか?その背景に迫ります。
―GRES高等学院で調理実習を行うことになったきっかけを教えてください。
僕自身も通信制高校の出身で、僕が高校時代にお世話になった菅原先生という方が独立してGRES高等学院を設立されました。恩師でもある菅原先生が大切にされている「生徒たちの個性を否定しない」という学校の理念に多くを学びました。8年前に菅原先生から「講師として調理実習をやってみてくれないか?」とお願いされたのをきっかけに、調理実習を始めました。当時は僕自身人前で話すのが苦手で……。最初の頃は、生徒たちも全然話を聞いてくれなかったり、心を開いてくれなかったり、大変な思いをしました(笑)。
―高校生が運営するレストラン『青春食堂』の実施に至った背景を教えてください。
「一生ものの特技を身につけて欲しい」という思いで調理実習の講師を引き受けたのですが、学生たちも2、3年調理実習でパスタを作っているとパスタ作りが本当に上手くなるんです。そこで、パスタを提供することに特化したイベントがあってもいいのではと思い、メニューはパスタのみの『青春食堂』を立ち上げました。今まで家から出られなかったような学生もいるので、そういう学生たちが「いらっしゃいませ」と言って、パスタを作っている姿を親御さんや先生方に見てもらえるとてもいい機会だと思っています。
―『青春食堂』での伊藤さんの主な役目を教えてください。
僕のお店を会場として、提供するパスタのメニューは僕が考えていますが、料理を作って提供するという一連の仕事は高校生にやってもらいます。当日は後ろで見守っているだけです(笑)。
調理の指導をする伊藤さん
―『青春食堂』の今後の展望を教えてください。
GRES高等学院は運動会などの学校行事がないので、学校のイベントとして『青春食堂』が確立できたらいいなと思っています。『青春食堂』以外にも学生たちが職業の体験を出来る機会を作り、いろいろな経験をさせてあげたいという気持ちもあります。学生たちに「大人って楽しそう」と思ってもらえるように、自分自身が大人の代表として楽しい姿を見せることを大切にしています。これからは、もっとたくさんの学生たちの居場所となれるような活動を広げていきたいと思っています。皆さんの協力をいただきながら、一人でも多くの学生たちの未来を支える存在になりたいです。
◆伊藤さんがオーナーシェフを務める『イタリア亭 Rione』
東京都福生市武蔵野台1-5-37
TEL 042-513-4714
HP italiateirione.com
Instagram https://www.instagram.com/rione0401/?igsh=bndxbmN4dm4yN2lm#
◆伊藤瞬(いとうしゅん)プロフィール
東京都青梅市出身。高校時代からファミリーレストランなどでアルバイトを行う。高校卒業後は、立川市内にある調理師専門学校に入学。その後在学中に職業体験で行ったイタリアンレストランに就職。27歳の時に独立し、イタリアンレストラン『イタリア亭 Rione』を東京・福生にオープン。現在は『イタリア亭 Rione』と、羽村市にある居酒屋『酒亭 雅楽』でオーナーシェフを務めている。