「ブラック・ジャック」の新作今秋公開 ・「AI×手塚治虫」は終わっていなかった
新たな局面に入ったAIと人間が手を取り合うことで、手塚治虫が礎を築いた日本の「マンガ文化」はさらなる発展の転換期を迎えることが出来るのか。是非ご注目ください。
◆「TEZUKA2023」プロジェクト概要
手塚プロのクリエイターと「ブラック・ジャック」を学習したAIのインタラクティブなやりとりにより、「ブラック・ジャック」の新作を制作するもの。本プロジェクトは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務で開発している技術を活用しています。
・公開時期
今秋予定
・掲載
秋田書店「週刊少年チャンピオン」
・主なメンバー
栗原聡(慶應義塾大学 理工学部教授)
手塚眞(手塚プロダクション 取締役)
村井源(はこだて未来大学 システム情報科学部教授)
橋本敦史(慶應義塾大学 理工学部特任講師)
石渡正人・日高海(手塚プロダクション)
◆手塚治虫作品「ブラック・ジャック」
秋田書店「週刊少年チャンピオン」で1973年11月~1983年10月まで連載された手塚治虫の代表作。無免許の天才外科医ブラック・ジャックが活躍する医学ドラマ。今年誕生50年を迎える。
https://tezukaosamu.net/jp/manga/438.html
◆コメント
栗原聡(慶應義塾大学 理工学部教授)
幸運だった「素晴らしい技術」登場。一方で「負の面」に対してもしっかり考え、「AI×人」の共創の可能性を追い求めることが、「TEZUKA2023」プロジェクトの役割。
「TEZUKA2020」に参画したことで、クリエイティブなタスクへのAIサポートの可能性を強く感じたものの、同時に人の創造力に対してまだまだAIの力量が足りないことを痛感しました。この経験が現在の「AIとマンガの共創の可能性」を追求する、NEDOに採択された研究プロジェクトの立ち上げに繋がったのですが、研究を進める中、絶妙なタイミングで我々の研究プロジェクトにとって大きな追い風となるChatGPTのような生成AIが登場したことは極めて幸運なことでした。今回、私たちはインタラクティブなやりとりを通してクリエイターの創造的作業をサポートする、GPT-4を基盤とするAIのコンセプトを提案しております。無論、素晴らしい技術には、今多方面で議論されている負の面に対してもしっかり考える必要があります。この研究プロジェクトを通して、さらに進化していくAIと人・社会がどのような関係を構築することが、今後のあるべき人間社会の実現のために必要であるのかという、根元的な問いへのひとつの答えに辿り着けるのではないかと思います。まずは、「TEZUKA2023」により、どのような作品が完成するのか自分自身楽しみです。
手塚眞(手塚プロダクション 取締役)
手塚治虫のエッセンスが凝縮されている「ブラック・ジャック」に、「AI×クリエイター」で挑む。
日本のマンガ文化が、また新しい未来を手に入れるかもしれない。
「TEZUKA2020」では、「ぱいどん」というマンガを制作しましたが、そのときAIはまだマンガ初心者で、慎ましい関わり方でした。それから3年。AIは飛躍的に進歩しています。もう初心者とは言えないということで、ハードルを一気に高くして、手塚治虫の代表作である「ブラック・ジャック」(BJ)の新作に挑戦します。「BJ」はエピソード数も多く、あらゆるジャンルを含み、手塚治虫のエッセンスが凝縮されている作品。そして、コロナ後の今の時代が一番渇望しているコンテンツと言えます。今回は様々なクリエイターが実際にAIと共同制作することで、コンテンツ作りの新たな方法論を生み出せるでしょう。日本のマンガ文化が、また新しい未来を手に入れるのかもしれません。
【プロジェクトメンバー】
・ 栗原聡 (慶應義塾大学 理工学部教授)
SATOSHI KURIHARA
・ 手塚眞(手塚プロダクション 取締役)
MACOTO TEZKA
・ 村井源(はこだて未来大学 システム情報科学部教授)
HAJIME MURAI
・ 橋本敦史(慶應義塾大学 理工学部特任講師)
ATSUSHI HASHIMOTO
・ 石渡正人/日高海(手塚プロダクション)
MASATO ISHIWATA / UMI HIDAKA
・ キャラクター生成チーム学生
蛭田興明、畠山太郎、北川峻
・ ストーリー生成チーム学生
川村天、小林伶央、有井知真、伊藤亮史、渡邉謙吾