中学生が自分から読みたくなる感情のコントロールスキル
「先生、怒ってることって言ってもええんやね。今度言ってみるわ。ちょっと言うの勇気いるけど」
とある学校でアンガーマネジメントの授業をした後、授業を受けた生徒がこう言ってくれたとき、私は思わず涙が出そうになりました。
彼が怒りについて正しく理解し、自分自身で相手に伝えるということを決め、一歩を踏み出そうと決心し、その覚悟を伝えてくれたことに胸を打たれたからです。
アンガーマネジメントは1970年代にアメリカで生まれた、怒りの感情と上手に付き合うための心理教育や心理トレーニングです。アメリカではアンガーマネジメントを小さいうちから学び、自分の感情のコントロールをするスキルを身に付けて大人になります。また、軽犯罪を犯した人に裁判所からアンガーマネジメントの受講命令が出ることもあり、その有用性が広く知られています。
日本でも数年前から一部の中学道徳の教科書にアンガーマネジメントが掲載されるようになり、社会に出る前に自分の感情コントロールの方法を知る機会が増えてきました。
思春期を迎えた子供たちは、心と体の成長のバランスが取れず、不安定な時期です。
アンビバレント(両価性)と言われるように、甘えたいけれど甘えられない、親に頼りたい気持ちと自立したい気持ちなど自分の中に相反する気持ちを抱えています。自分の気持ちが移ろいやすいことは不安やストレスとなり、怒りにつながります。
この時期は小さな社会の中で、仲間から受ける同調圧力(ピアプレッシャー)を強く受ける時期でもあります。友人と違うことを言ったらおかしいと思われるのではないか、「いい子」でいないと、否定されるのではないか、仲間外れになるのではないか、空気読まないと……。
そういった不安から、自分の中の怒りの感情を認められなかったり、見て見ぬふりをして押し殺し、自分自身の考えや感情を口に出すことは悪いことだという思い込みに至る場合もあります。
葛藤する中で怒りの感情を上手に表現できないと、怒りに振り回されてしまい、何かに当たり散らしたり、自分や周りの友人を傷つけたり、心にもないこと言ってしまうことがあります。
そんな揺れ動く世代のために、一般社団法人日本アンガーマネジメント協会とアンガーマネジメントコンサルタントの松井晴香が、10代の子どもたちに伝えたい怒りの扱い方と伝え方をまとめました。
中学生・高校生の子どもたちに関わる教員、養護教諭、カウンセラーの先生。ぜひ本書を子どもたちの目に見えるところに置いていただき、感情の取り扱い方の参考にしてもらえたらと思います。
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怒らない、叱らない人はいる?
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友達や大事な人を守れない
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自分の嫌悪で怒る基準を変えるのはNG
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目次
第1章 うまく怒れない私たち
第2章 怒れないことのデメリット
第3章 怒りを理解する
第4章 怒りを上手に伝えるための準備
第5章 NG な伝え方
第6章 上手な怒りの伝え方
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書誌情報
『13歳からのアンガーマネジメント ガマンしない・傷つけない 上手な気持ちの伝え方』
https://www.godo-shuppan.co.jp/book/b624332.html
【監】一般社団法人日本アンガーマネジメント協会
【著】松井晴香
□定価=本体1,800円+税
□A5判/104ページ
□ISBNコード:978-4-7726-1530-3
□Amazon
https://amzn.asia/d/7qf9udh
□楽天ブックス
https://books.rakuten.co.jp/search?sv=30&v=2&oid=000&f=A&g=001&p=0&s=0&e=0&sitem=9784772615303
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著者情報
【監修】 一般社団法人日本アンガーマネジメント協会
ニューヨークに本部をおくナショナルアンガーマネジメント協会の日本支部。
全国の教育委員会と一緒に体罰防止、いじめ防止のプログラム開発を進めている。
また、年間3000回以上の講座・講演・企業研修などを行ない、150万人以上の人にアンガーマネジメントプログラムを届けている。
【著】松井晴香(マツイ・ハルカ)
日本アンガーマネジメント協会認定アンガーマネジメントコンサルタント
出産を機に退職後、アンガーマネジメントコンサルタントとなる。現在は教員研修・保護者向け講演会小中高等学校で生徒たちにアンガーマネジメントを伝えている。
【イラスト】みぬい
Twitter https://twitter.com/rororarala