【レポート】高岡伝統産業青年会が未来の担い手育成を目指し、高校生へものづくり企業11社の見学ツアーを実施。参加者全員が「就職先として魅力を感じた」と回答
職人がその場で実演、ツアーを通して商品を完成させる高岡のものづくりの特色“分業制”を体感できるツアー
高岡伝統産業青年会(所在地:富山県高岡市)は、2025年10月18日・19日に開催された「クラフトフェア ツギノテ」会場内にて、高岡工芸高校の生徒12名を対象としたものづくり企業見学ツアーを実施しました。ツアーは高岡の伝統産業の特徴でもある分業制の工程を体感できる内容となっており、ツアー後のアンケートでは参加した生徒全員が、見学した企業について「就職先として魅力を感じた」と回答しました。本ツアーを通して、伝統産業や製造業の担い手候補となる若者に、高岡が誇るものづくりのリアルな魅力を体感してもらうことを目指して企画しました。
◾️企業見学ツアー実施の背景と目的:未来の担い手との接点創出
高岡市は、400年の歴史を持つ高岡銅器や高岡漆器をはじめとする伝統工芸・製造業が集積する「ものづくりのまち」です。一方で、高齢化に伴う後継者不足は産業にとって深刻な課題となっています。高岡伝統産業青年会は、高岡の伝統を継承し、新しい価値を創造すべく、地場産業の持続的な発展に貢献することを目指し、52年前から活動を続けています。
今回、本ツアーは地元の高校生、特にものづくりを学ぶ高岡工芸高校の生徒たちに、全国から職人や作家が集まるクラフトフェア「ツギノテ」の熱気を感じてもらうと共に、実際に地元のものづくり企業ブースを訪問し、「仕事のやりがいや技の魅力をリアルに感じてもらうこと」を目的として企画しました。
◾️企業見学ツアーの概要
ツアーでは市内11社のものづくり企業のブースを巡りながら、高岡銅器・高岡漆器をはじめとした多様な技術を紹介。また、高岡のものづくりの特徴である“分業制”を体感できる仕掛けとして参加者に「カメの鋳物(いもの)」をプレゼントし、実際の製品が工場毎に加工を施されていくように、訪れる企業の技術を用いて職人が加飾を施し、ツアー終了とともに完成。職人から見聞きするだけでなく、技術が手元に残るツアーとしました。
◾️イベント名:クラフトフェア「ツギノテ」内 ものづくり企業見学ツアー
◾️開催日:2025年10月18日(金)
◾️対象:高岡工芸高校 1〜3年生 (12名参加)
◾️見学先:クラフトフェア ツギノテ出展企業および高岡市内の伝統産業に携わる製造企業
◾️内容:ものづくりの現場で活躍する方々との交流、製品が生まれる分業制の工程見学、技術の解説など
<見学先 企業と技術>
和田彫金工房/彫金、(株)平和合金/鋳造、(株)能作/鋳造、(株)高田製作所/鋳造、(有)色政/着色、(株)大越仏壇/仏壇製造、(有)モメンタムファクトリー・Orii /着色、漆芸吉川/漆芸、(株)竹中銅器/企画・販売、(株)ナガエ/企画・販売・鋳造 、(有)能登作銘木店
◾️高岡伝統産業青年会が地域産業と次世代の架け橋に
今回のツアーでは、伝統工芸・産業が「過去のものではなく、進化し続ける現代の仕事である」ことを伝えることに注力しました。特に、参加した生徒全員が「就職先として魅力を感じた」と回答したことは、地元企業が持つ技術や事業、働く環境の魅力が、若者の進路選択に強く訴えかける力を持っていることを感じました。この結果は、若者の地元定着の可能性を高め、伝統産業の持続的な発展に繋がる貴重な手応えとなりました。
・キャリア教育への貢献: 地元での「働く」ことの具体的なイメージを提供し、生徒の進路選択に現実的な選択肢を与える機会となりました。
・伝統産業への関心の醸成: 若年層に地元のものづくりに対する関心と誇りを醸成し、将来的な地域産業の担い手候補を発掘する重要なステップとなりました。
高岡伝統産業青年会は、このような地域に根差した活動を通じて、次世代へ技術と文化を繋いでいくための環境づくりに継続して取り組みます。
◾️参加した高校生が感じた「リアルな声」
ツアー実施後のアンケートでは、参加者全員が「就職先として魅力を感じた」と回答しただけでなく、生徒たちの高岡の伝統産業に対する認識の変化も見られました。
Q.今回のツアーで「初めて知ったこと」や「びっくりしたこと」はありますか?
・高岡のものづくりが分業だと知らなかった。問屋も、ものづくりに含まれることに驚いた。
・金属の酸化や錆びで色を表現する時に、黒や青だけでなく、青や赤も表現出来るということにびっくりしました。
・ロストワックス製法を利用すると細かなものも鋳造できると知り、今まで鋳造は大きなものに向いているというイメージを持っていたため驚きました。
・うるしに溶液などを混ぜて色々な色を作ったり、溶液と一緒に墨などを混ぜて着色することにびっくりしました。
Q. ツアー前と比べて高岡の伝統産業に対するイメージはどのように変わりましたか?
・個々の企業が独立している感じがしていたのですが、いろいろな企業が一緒に仕事をしていることが知れて、企業が協力しあいながら仕事しているのだとわかりました。
・高岡の伝統産業には大仏や鐘のイメージが大きかったですが、小さく細かなものも多くあり、近年はより身近なものに変化しているのだと学ぶことができました。
・分業制についてしっかりと理解することができました。作業を分けていて、それぞれの職人のこだわりが詰められているため、質の良い高岡ならではのものができているのだと感じました。
・伝統産業に不可能はない!!
◾️主催者コメント
高岡伝統産業青年会 クラフツーリズモ委員会 委員長 宮津 駿一郎
ものづくり企業が同じフロアに集まり、実際の技や仕事の様子を間近で見ることで、高校生の皆さんが地元の産業をより身近に感じ、進路として考えるきっかけになったことをうれしく思います。今回の経験を通して、高岡のものづくりの力と、その魅力を次の世代へつなげる大切さを改めて実感しました。今後も地域の魅力を伝える取り組みに積極的に挑戦し、高岡のものづくりをより多くの人に知ってもらえるよう努めていきたいと思います。
◾️高岡伝統産業青年会について
高岡伝統産業青年会は、富山県高岡市で400年以上続く伝統産業を引き継ぐ40歳以下の若手職人・問屋の団体です。独立した伝統産業の青年会の数は全国の産地でも年々減少していき、現在は石川県と高岡市の2団体のみとなっており、全国でも珍しい専門団体です。1973年から高岡が誇る伝統技術、職人の仕事を展示会や鋳物体験、工場見学ツアーなどを通して県内外へ発信してきました。また、分業制である高岡のものづくりにおいて、専門分野が自分と違う仲間との交流の機会を設けることで、自己の技の研鑽や応用を続けてきました。近年では、活動を通して新たな仕事が生まれたり、20代・30代の移住者が増えるなど、高岡伝産の活動を通して地域に変化が生まれています。
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