生徒全員が“株主”の株式会社王座金商(おうざきんしょう)とは!?

株式会社王座金商は石川県立金沢商業高校の生徒全員が株主の会社です。運営は「金商ライフサポート部」の生徒が中心に行っています。どのような事業をどのような目的で展開しているのか?「金商ライフサポート部」を担当する小木先生と北村先生にお話を伺いました。
―株式会社王座金商の設立経緯を教えてください。
小木:王座金商は、2017年1月に設立されました。金沢商業高校(以下、金商)には「観光」を学ぶ授業があり、その一環として、生徒たちが実際に旅行代理店の業務に携わることで、将来のキャリア形成やビジネススキルの向上を目的に設立された会社です。
北村:旅行ツアーを企画・販売するには、旅行業または旅行業者代理業としての認可が必要です。そこで地元金沢の日本ツアーシステム(ツアーシステム株式会社)と契約を結び、金沢を中心とした旅行ツアーを企画・販売しています。コロナ禍でなかなか活動が出来ない期間が続いたのですが、2025年度は積極的な活動を再開予定です。また、会社の経営基盤を安定させるために、商品開発や商品販売にも取り組んでいます。
―王座金商の社名の由来を教えてください。
小木:校歌の歌詞に登場する「北都の王座」というフレーズが由来です。金商は金沢商業高校の略称で、最初は金商という社名する予定でした。しかし、金商という会社がすでに存在していたんです(笑)。
【会社概要】
【旅行業務取扱管理者試験の受験データ】
―全校生徒が株主で、1人あたり1株(1,000円)出資ということですが、配当はあるのですか?
小木:年に1回、株主総会を開催し配当もあります。王座金商は全校生徒と役員・監査役を担っていただいている同窓会3名の方が株主で、教職員は株を持っていません。また生徒は、卒業時に持ち株を手放し、新入生が新たな株主となるという仕組みで運営しています。
―商品開発はどのように行っているのですか?
小木:商品開発と販売は私が担当しています。営業課の生徒たちは、例えば地域イベントに合わせて、そのイベントの来場者層などを考慮しながら商品案を出し合います。その中から採用されたものを実際に製造します。またイベントでは、自社の商品だけではなく、他の高校が開発した商品や、地域の名産品なども一緒に販売することもあります。校内においても入学式に合わせて、オリジナルのクリアファイルやタオルなどを販売しています。
北村:今一番新しい商品は「まいみるまんじゅう」というお菓子です。この商品は能登復興を目的に、アイ・ミルク北陸株式会社(能登市)と和菓子店・金沢百万石花園屋との共同開発で誕生しました。復興にはまだまだ時間がかかることを踏まえ、単発的な取り組みではなく、10年計画で継続的に製造・販売していくことをテーマにしています。旅行事業で生徒たちが兼六園のガイドを担当していることもあり、兼六園のイベントにもお声がけいただき、販売しています。
*兼六園は国の特別名勝に指定される日本庭園。金沢を代表する観光名所。
【まいみるまんじゅう】
―コロナ禍で滞っていた旅行事業ですが、今年の事業計画で決まっていることがあれば教えてください。
北村:まだ具体的ではなく、これから企画を詰めていく段階ですが、インバウンド観光客が増加していることなどを踏まえ、ターゲット層を絞った企画を進めていく予定です。2024年の上半期の兼六園に訪れた外国人は約25.7万人で過去最高を記録しました。今年はますますのインバウンド観光客の増加が予測されています。ガクイチのスタッフの皆さんにも是非、金沢にお越しいただきたいです(笑)。
【兼六園ガイド風景】
■株式会社王座金商公式ホームページ
■石川県立金沢商業高校公式ホームページ