未利用魚“シイラ”を使ったペペロンチーノ味の商品「ペペロンシイラ」を開発!

福井県立若狭高校の海洋科学科では、探究の授業内で、地域水産業を成長させるための最新技術の活用スキルを学んだり、地元で獲れる魚を活用した商品開発などを行っています。その中から今回は、近年若狭湾で漁獲量が増えているが、生食で食べるのには向かず市場に出回らない魚“シイラ”を使った商品「ペペロンシイラ」を開発した、3年生の重田悠佑くん、上伏颯大くん、清水浩晴くん、上山千咲登さんの4名に話を聞きました。
—「ペペロンシイラ」を開発した経緯を教えてください。
重田:探究の授業で、未利用魚を利用した商品を作ろうと話し合っていたのですが、具体的な魚や、どんな料理を作るのかというのは決まっていませんでした。授業に小浜海産物株式会社さんが来ていた時に、“シイラ”という魚を使った新しい商品を考えていることを知り、小浜海産物株式会社さんで作っている燻製風味の商品“ささ燻”を参考にした、シイラの商品を一緒に作ることになりました。
—今回開発した「ペペロンシイラ」はどういった商品でしょうか?
重田:刺身状に切ったシイラを、ペペロンチーノ風味の燻液で味付けした商品になっています。完成するまでに塩漬けや塩抜き、燻液に浸けるなどさまざまな工程があり、その際の塩の分量や燻液に浸ける時間など細部までこだわって作りました。
上伏:通常の燻製は木のチップをいぶして煙で味付けをするのですが、「ペペロンシイラ」は“液燻法”という、燻製の風味がする“燻液”に身を浸けて燻製する方法で作りました。
上山:ペペロンチーノの風味が美味しいのはもちろんですが、燻製の香りも感じることができる、とても美味しい商品です。
—ペペロンチーノ味に決まった経緯を教えてください。
上山:開発時に私がパスタのペペロンチーノにハマっていたんです。この商品でもペペロンチーノ味が食べたいなと思いアイデアを出しました。
—燻液につける味はどのように決めたのですか?
重田:最初は自分たちの好きな味や若者が好きな食べ物などから選んでいたのですが、実験が進むにつれて、“燻液に合う味付けはどれかな?”と考えて味付けを決めるようになりました。味噌や鶏ガラ、カレー粉、バジルソルトなどアイデアが出た中で、僕はキムチ味が結構美味しくて好きだったんです。しかし、燻液に浸けたあとの工程で真空パックにして冷凍するのですが、解凍した際にキムチの味が全部飛んでしまって。最終的にボツになりました。
清水:僕が提案したのは粉チーズ味で、試作で作ってみたのですが、美味しくもなく不味くもなくという感じの味でした(笑)。
—開発をする際にこだわったポイントを教えてください。
上伏:僕がこだわったのは、再現性を高めるために、写真を撮ったり、調味料の分量を細かくノートに記入したりして、何度も同じものを作れるようにしたところです。
清水:僕は、ペペロンチーノ味一本に絞ってから、オリーブオイルやにんにく、鷹の爪の分量をいくつも机の上に分けて実験したことです。分量を決める際に小浜海産物株式会社さんに「原価を計算したらいいよ」とアドバイスをいただいたので、それを踏まえて分量は特に試行錯誤しました。
—商品開発中に印象に残っていることを教えてください。
清水:ペペロンチーノ風味の燻液に浸ける前に、まずは塩漬けをして味のない燻液に浸けるというだけの工程を試しました。その時に、燻液に浸ける時間を5分、10分、15分と比較したのですが、5分間浸けたものが一番香りもしっかりと残っていたんです。燻液に浸けすぎると酸味が残ってしまうということを研究を通じて学びました。
上伏:砂糖漬けでも魚の水分を抜けると聞いていたので実際に挑戦してみました。そうしたら全然水分が抜けず、全く良くない結果になってしまったことが印象に残っていますね。
—今回の探究活動を通じて学んだことを教えてください。
上伏:僕は小浜海産物株式会社さんと関わる中で、主体性や、味を決める過程での課題設定能力が身についたと思います。大学でも水産業について学びたいと考えているため、主体性や課題設定能力を活かして研究をしていきたいです。
上山:私は商品のパッケージ作りをしていく中で、計画的に進めることの大切さを学んだので、今後は何事にも計画的に取り組んでいきたいです。
—「ペペロンシイラ」の今後の展望を教えてください。
重田:まだ「ペペロンシイラ」の商品化は決定していませんが、とても美味しい商品なのでぜひ販売したいです。商品化に向けて、現在は商品のパッケージを自分たちで作っている最中なので、6月中にはパッケージを完成させたいなと思っています!
◾️福井県立若狭高校
2027年で130周年を迎える伝統ある学校。普通科、文理探究科、海洋科学科を有し、個に応じた学びを極めることができます。取材に協力してくれた海洋科学科では、若狭地域のWell-beingを実現するため、地域水産業の成長産業化に貢献できる人材育成のための水産海洋教育カリキュラムを開発。若狭地域の特産品を使った商品開発などにも積極的に取り組んでいます。