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八戸工業大学と山田進太郎D&I財団、中高生女子のSTEM(理系)人材の育成に向けて連携協定を締結
八戸工業大学と公益財団法人山田進太郎D&I財団は、中高生女子におけるSTEM(理系)人材の育成に関して、包括的に協力していく連携協定を11月7日に締結しましたのでお知らせします。 ■締結の背景 当財団は、“性別や背景に関係なく、一人ひとりの興味や関心に応じて「好きなこと」を追求できる社会の実現”を目指す一環として、STEM(理系)女子奨学助成金など、STEM(理系)分野におけるジェンダーギャップを解消する活動を推進しています。一方で、女子生徒を支援する立場にある大学や高等専門学校等の教育機関による横の連携は十分に実施されているとは言えず、各教育機関がそれぞれの地域で単体で活動を行っているという問題があります。 これに対して、当財団は今年度より、全国の大学・高等専門学校と連携した中高生女子の理工系選択支援プロジェクト「Girls Go STEM! 〜大学・高専支援プラットフォーム〜」を立ち上げ、現在までに13の大学と連携しています。 八戸工業大学は青森県を含む北東北においてSTEM(理系)人材を輩出する高等教育機関ですが、全国的に理工系の学部や大学などに進学する女性の比率が低いことを踏まえて、当地において特にSTEM(理系)分野への進学やキャリアに興味を持つ中高生女子を対象に、実験教室や出前授業を行ってきました。 今回、八戸工業大学と当財団が、より包括的な相互連携を行うことでより多くの地域の中高生女子がSTEM(理系)分野の魅力に気づき、進学やキャリアを考える機会を得られると考え、連携協定を締結することになりました。 ■連携協定の内容 (1)八戸工業大学の活動に対する当財団のSNS等を通じた広報支援 (2)八戸工業大学の活動に対する、当財団が連携する企業等に所属するロールモデルのキャスティング支援 (3)他の活動機関との交流を通じたナレッジ共有や協業機会の提供 (4)前各号に掲げるもののほか、相互に協力することが必要と認められること ■連携協定締結にあたってのコメント 八戸工業大学工学部工学科 鮎川 恵理氏(HITリケジョLABO) 本学が立地している青森県のみならず、幅広い地域で学んでいる女子生徒さんが、 理系進路を選択し、「なりたい自分・やりたいこと」を貫けるよう、山田進太郎D&I財団様と連携し支援していきます。 公益財団法人山田進太郎D&I財団 理事 富島 寛 八戸工業大学との連携協定を通じて、青森県および東北地方において「STEM×女性」のムーブメントを起こしていけることを楽しみにしています。財団のリソースを最大限活用し、地域の女性のキャリアを推進していきます。 「Girls Go STEM! 〜大学・高専支援プラットフォーム〜」の目指す方向性は、性別や背景に関係なく、一人ひとりの興味や関心に応じて「好きなこと」を追求できる社会の実現です。当財団は、本取り組みを通して大学および高等専門学校間の連携を強化し、STEM(理系)分野における女子生徒の増加を支援するとともに、多様な人材の活躍を促進していくことを目指します。 ■八戸工業大学について 八戸工業大学では、本学の女性教職員で構成する団体「HIT リケジョ LABO」を立ち上げ、2020年度より北東北の女子生徒の理系の進路選択を増やすことを目的に活動をしています。多くの理系分野の職種で女性が求められている一方で、理系進路選択を躊躇する女子中高生が一定数いるのが現状です。このような状況を打開することをめざし、これまでに、体験型公開講座や商業施設でのワークショップ、系列校での講演会などを実施してきました。 2023年には、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)「女子中高生の理系進路選択プログラム」に採択され、女子中高生を対象とした講演会や実験・実習体験などを開催しています。 HIT リケジョ LABO公式ウェブサイト: https://rikejolabo.hi-tech.ac.jp/ ■公益財団法人山田進太郎D&I財団について 誰もがその人の持つ能力を発揮し活躍できる社会の実現に寄与するために、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)を推進する目的で、メルカリCEO山田進太郎が2021年7月に設立した公益財団法人です。 特に、STEM(理系)のジェンダーギャップに注目し、2021年より女子中学生/高校生がSTEM(理系)キャリアを前向きに検討し、積極的に自己決定するための機運を創ることを目的に奨学金事業を開始しました。2023年からは、さらに活動の幅を広げるべく、対象者となる女子生徒を取り巻くステークホルダーとなる保護者や学校等教育機関、企業、行政/省庁の皆様と連携しながら、各種教育支援イベント等を通じて若い女性の成長と社会進出を支援しています。 ※STEM(S:Science / T:Technology / E:Engineering / M:Mathematics) 代表理事:山田 進太郎(メルカリ創業者、代表取締役社長兼CEO) 設立年月日:2021年7月1日(木) 公益財団法人山田進太郎D&I財団公式ウェブサイト: https://www.shinfdn.org/ ■2023年度の奨学金事業について 山田進太郎D&I財団は、2023年度もSTEM(理系)進学を選択しづらい現状にある女子学生が理系キャリアを前向きに検討し、積極的に自己決定するための機運を創るため、STEM(理系)女子奨学助成金の募集(締切日:11月26日)を行っています。詳細は以下をご参照ください。 STEM(理系)女子奨学助成金募集要項: https://www.shinfdn.org/scholarship2023/requirements 【一般のお問い合わせ先】 公益財団法人山田進太郎D&I財団事務局 Eメール:info@shinfdn.org <ガクイチインフォメーション> ガクイチでは、学生・学校のオリジナルグッズの制作を承ります! ▼詳しくはコチラ▼
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子どものデジタルクラブ活動 「Digital Kids Club」が愛媛県デジタル実装加速化プロジェクト「トライアングルエヒメ」に採択
「デジタルテック」 x 「子供の居場所」 を創り、これからの教育やコミュニティの形をトライする実装事業を推進します。 lanitech合同会社が推進する「デジタルテック」x「子供の居場所」である Digital Kids Clubが、愛媛県のデジタル実装加速化プロジェクト「トライアングルエヒメ(TRY ANGLE EHIME)」に採択され、愛媛県にて実装検証を開始することになりました。 Digital Kids Clubとは https://digital-kids.club (現在はイベントページ。公式サイト準備中。) Digital Kids Clubとは、IT教育やプログラミング教育を強制するのではなく、こどもの内から湧き出る探究心や興味関心などの「気持ち」を大切にしたデジタルクラブ活動を提供します。デジタルは子供達の考えや想いや発想を引き出す触媒として利用し、子供達の表現活動の幅を広げ、施設は子どもたちの居場所となるあたたかな場所作りをします。 Digital Kids Clubの特徴 本件は、その今治市に本拠地を置くFC今治(運営:株式会社今治.夢スポーツ)様、FC今治高校(学校法人今治明徳学園) 様、今治高等学院様との協力の元、「Digital Kids Club Imabari」の施設の立ち上げ実装を推進します。また、本件は特定非営利活動法人みんなのコード様の子どもの居場所事業を参考にしております。私たちは、デジタルを活用した教育活動の展開を通じ、今治市内における教育の多様化を提供し、子どもたちの人生の多様化や多様な人材のいる地域作りを試行錯誤します。 11/12(日)松山市内にて、1日体験イベントの開催が決定 11/12(日)に、1日体験イベント@松山市が決定しました。ドローン操縦体験、ChatGPT体験、と、お絵描きのイラストを3D化するMonstermash体験が出来ます。ぜひ多くの子どもたちにご参加頂ければうれしいです。 詳細はこちらです。 公式ページ:https://digital-kids.club/ プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000131265.html 「トライアングルエヒメ」について 当事業は、令和5年度 愛媛県デジタル実装加速化プロジェ クト「トライアングルエヒメ」の採択事業として実施するものです。事業の詳細については WEB サイトをご覧ください https://dx-ehime.jp/ 【事業概要】 愛媛県内を実装フィールドとして、多様な産業領域における地域の課題に対して、愛媛県が民間事業者 (コンソーシアム含む)から企画提案を募集し、デジタル技術の実装や県内への横展開の実現性等の高い 提案を採択。採択プロジェクトには、現地の事業者とコンソーシアムを組成、課題解決につながるデジタ ル・ソリューションの実装検証を行います。 lanitech合同会社 について 日本を拠点にITを軸に 技術顧問 や 外部CTO などの経営支援・技術支援をしています。「気づいていない課題を見つけ出し、最高の解決を、お客様と共に。」をミッションに、システム導入コンサルから、開発チーム立ち上げ、プロダクト作り、スタートアップ支援、企業のDX化などニーズにお答えします。 近年の事業として本件をはじめ、複数事業を開始しています。 https://lanitech.jp/
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サッカーで育成の学童保育「SDKidsつくば 谷城校」2024年4月1日(月)OPEN予定! 保護者説明会実施中・児童募集中
サッカー指導をこれまでサカイクやFC東京キャンプでサポートしてきたボル・セン・カンパニー合同会社は、2024年4月1日(月) 、サッカーで育成の学童保育「SDKidsつくば 谷城校」をオープン予定です。 ■SDKidsつくば 谷城校 資料:https://bollsen.co.jp/wp-content/uploads/2023/11/f997de9c0e6cf88b348585b7cf5a6d96.pdf 「SDKids(エスディーキッズ)つくば 谷城校」は、日本の将来を担う子どもたちに最高のサッカーの環境を準備し、サッカーの確かな技術獲得やたくましい心を育てることはもちろん、宿題などの学習サポートや地域とのコミュニケーションを通じて、予測することが困難な時代の中で生き抜く人材を育成することを目指す、次世代型の学童保育・プリスクールです。 対象は小学生1~6年生のみどりの南小学校(2024年新設)、みどりの学園。谷田部小学校に通う児童のみなさんです。お預かりの中で実施するサッカーレッスンは、サカイクキャンプコーチ、タニラダー講師のコーチがが担当し、確かな実績、確かな指導技術でサッカーの楽しさと成長を促す指導を行います。 「SDKids(エスディーキッズ)つくば 谷城校」は、近隣のつくばFCの人工芝のグラウンドと提携し、最高の環境でサッカーをプレーすることができます。また、「SDKids(エスディーキッズ)つくば 谷城校」の施設は谷城区会の集会所を利活用する形で運営します。会員減少により維持が困難な区会や自治体の新たなる活路を見出す戦略はないかと、次世代へバトンをパスする方法の一つとして検討してまいりました。 持続的な社会の実現を目指し、命名した名前はSDKidsつくばです。つくばから持続的な社会の実現に向けてたくましい子供たちの育成の場として貢献してまいります。 つくばFC万博グラウンド 出典:つくばFC サッカーで、たくましく! みどりの・谷田部エリア待望の学童保育「SDKids(エスディーキッズ)つくば 谷城校」が茨城県つくば市に新規オープン! ■説明会・個別相談会お申込みはこちら https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfmDbSrF9xTGnCNofW_k5x0Ri0SZe5wfY5dCTe6OLmdOG1FpQ/viewform ■SDKids(エスディーキッズ)つくば 谷城校 概要 所在地:〒305-0861 茨城県つくば市谷田部6098 アクセス:谷田部中学校隣新規開校日:2024年4月1日(月)電話番号:050-5538-5239対象年齢:小学1年生~小学6年生資料URL:https://bollsen.co.jp/wp-content/uploads/2023/11/f997de9c0e6cf88b348585b7cf5a6d96.pdf
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親子で鯨の持続的利⽤や鯨食文化を学ぶ「たべるくじらのがっこう」をさかな文化祭で開催
一般財団法人日本鯨類研究所は、2023年11⽉4⽇(⼟)に横浜で開催される日本最大級の子ども向け魚食推進イベント「さかな文化祭」にて、小学生とその親御さんを中心とした⼀般消費者に向けて、鯨の持続的利⽤と鯨⾷文化の普及啓発を目的に「たべるくじらのがっこう」を実施します。 親子で楽しめる鯨食の学習型ワークショップ 「たべるくじらのがっこう」では、鯨⾷普及を含む捕鯨⽂化の理解を深めてもらうことを⽬的に、一般財団法人日本鯨類研究所及び一般社団法人大日本水産会が制作した「くじらぬりえ」を活用して、科学的根拠に基づいた鯨類資源の持続的利⽤について親子に分かりやすく学んでもらう学習型ワークショップ「たべるくじらのがっこう」を実施します。 「たべるくじらのがっこう」ワークショップ内容 「たべるクジラってなーに?」 ・クジラとイルカってどんな生き物? ・ヒゲクジラ、ハクジラのちがい ・日本で捕って食べられているクジラ 「私たち日本人とクジラの関係」 ・クジラを捕ると? ・クジラの利用 ・食文化ってなに? 「世界の海と陸を守ること」 ・海と陸と空はつながっている ・海をうまく使えば陸を守れる 「たべるクジラを研究すること」 ・一般財団法人日本鯨類研究所の取組紹介 「たべるくじらのがっこう」オリジナルスタンプカードを使って5つのスタンプを集めるとオリジナル缶バッジがもらえます。 ※画像はイメージです 奥田シェフ考案「くじらハンバーグ」の試食を配布 「たべるくじらのがっこう」のスタンプカードを受け取って、アンケートに答えた先着1,000名様に、世界的に有名なイタリアンの巨匠「アル・ケッチァーノ」の奥田シェフ考案「くじらハンバーグ」の試食を配布します。 その他、親子で楽しめるクジラの展示やプレゼントを実施 「たべるくじらのがっこう」開催概要 ⽇時 2023年11⽉4⽇(⼟) 10:00〜16:00 場所 横浜市中央卸売市場(山内ふ頭) 横浜市神奈川区山内町14番2 アクセス みなとみらい線「新高島駅」から徒歩15分 参加対象 ⼩学⽣とその家族 主催 ⼀般財団法⼈⽇本鯨類研究所 運営 株式会社SUPERFINE 同時開催「令和5年度さかな文化祭」https://sakanabunka.com/
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(後編)『機動戦士ガンダム』シリーズのアニメーション映画監督富野由悠季先生がN/S高生に熱烈授業!
各界の豪華講師陣が「世の中のリアル」を伝える【特別授業】第三回を開催!「国家を担えるような人材が、N/S高の出身者にいるかもしれない!!」 日本の文化振興に寄与するための事業を手掛ける公益財団法人角川文化振興財団(理事長:川上量生)は、<「世の中のリアル」を伝える>をメインテーマに、未来に夢を抱くN/S高の生徒達に向けた【学園生のための特別授業】を、株式会社ドワンゴが提供する学習コンテンツアプリN予備校を用いて、9月19日(火)に行いました。 第三回目は、『機動戦士ガンダム』シリーズで有名な、アニメーション映画監督の富野由悠季先生をお招きし、【学園生のための特別授業 富野講座】と題して実施。全国から多くのN/S高生が参加し、あらかじめ選ばれた会場でのリアル受講者からは、熱い質問や相談も飛び交い、手に汗握る盛り上がりを見せました。 前編紹介はコチラ 富野由悠季先生 「多様性という言葉がメディアで都合よく取り上げられていると思いますが、富野先生はどう思われますか?」(こうた) (富野監督)「多様性というのは、お勉強ができる人が勝手に使っている言葉です。おそらくその言葉を意識して使っている人に、多様性があるかどうかはかなり怪しいと思います。つまり先ほど農業の話をしました。農家は野菜のことしか考えていないのかというと、そんなバカなことはありません。我々の暮らしというのはかなり色々なことを考えていないと、野菜一つ育てることができないし、成り立っていきません。そうやって、現在までの人類史を作ってきたということを考える必要があります。つまり、藁ひとつ取っても、藁を綯うことによって縄を作ることができますが、人々が暮らしを立てるためにそのことだけを考えていたわけではないですね。売ることも考えなければいけないし、それをひとりの人間がやっていたかもしれない。そういうことを言うのに、わざわざ多様性という言葉を使うでしょうか?つまり言葉だけでものを考えているような人たちがたくさんいるわけです。そういう人たちが賢いのか?という問題は、やはり別に置く必要があるんです。」 「ニュータイプ論に近い話ですが、監督はガンダムエースでも“ニュータイプの芽が出た”というお話をされていました。現代社会から見て、これからの社会に必要なことは何かをお願いします。」(司会者) (富野監督)「今回のプーチンの戦争によって、ニュータイプになるためのハウツーを考えることができました。そこにはある方向性がありました。つまり人類史の中で、なぜ、一番頭がいいといわれる哲学者で政治家になった人がひとりもいないのだろうか?ということです。そこが切り口でした。哲学という“考え方を考える”ということを述べる哲学者たちは、全部自分の中だけで完結してしまうので、外に向かって行う政治というものが一切合切出来ない人たちなんです。ものを考えることができる人が、人を統治する、つまりガバナンスをする、政治をする、という考え方がニュータイプ論を生み出すためのハウツーになると思いました。今回、プーチン大統領は、“ゼレンスキーっていう喜劇役者だった何かちゃらちゃらしてるあいつが大統領になったウクライナなら、ここでやってしまえば一発でロシア領になるかもしれない・・・。”と思ったんだろうと思います。ところが3日目にゼレンスキー大統領が“われわれはここにいる”と言ってしまった。つまり“抵抗する”と。その瞬間から1年以上も抵抗している。何度も言います。喜劇役者だったんです。それが政治家になってしまった。政治家になって、ある日突然、プーチン大統領にとっての敵が出来てしまったんです。」 「ゼレンスキー大統領みたいに経験値がない人が政治家になってくれてもいいんです!」 富野由悠季先生 (富野監督)「“なぜ哲学者が政治家になれないんだ?”というくらいに、違う資質の人、全く違うタイプの人が政治家になってくれればいいっていう考え方があるわけです。ゼレンスキー大統領のように、経験値がない人が政治家になってくれてもいいのです。今までわれわれが信じ込んでいたような、政治家タイプの人間や、政治家の家系の人が政治家になれば間違いなく、今後の日本の政治が良くなるということは絶対にありません。きちんとした政治家が生まれ育つような風土を作っていくことによって、ニュータイプができるのではないかと思っています。つまりゼレンスキー大統領みたいなタイプの人を基準にして考えていくことで、今後の可能性が開けるのではないかと考えています。そういう勉強の仕方をしてくれる人が政治家になってくれれば良いと思っています。」 「“国家を担ってもいいんだ!俺に担わせろ!”というキャラクターがN/S高から出てきて欲しい!」 (富野監督)「この30年ぐらい、松下幸之助さんのように、実業家が政治塾みたいなものをつくって、政治家を育てるということもやりました。けれどもそれも昭和の時代からの伝統のような形の中で、古いタイプの政治家を育てる事しかやっていなかったので、有能な人が育っていない気がしています。どうやって有能な人を見つけていくのかというと、少なくとも今までのわれわれの持っている“何何タイプ”ではない人を見つけ出してくる必要があります。それで皆さん方の世代がとても重要になってくるんです。つまり“そういう私になるんだ!俺になるんだ!”という努力の仕方、勉強の仕方をしていただきたいと思っています。 「“お勉強の出来る人が、有能な政治家にはなれない”ということです。」 (富野監督)ひとつだけ分かりやすい人のタイプの基準があります。“お勉強の出来る人が、有能な政治家にはなれない”ということです。それだけは覚えておいていただきたい。その前例を日本は前の戦争まででやっています。海軍と陸軍の大学に入る生徒たちというのは、すべてが才能のある人の集まりでした。そういう人たちが日本を敗戦に導いたんです。つまり勉強ができればいいのではありません。さらに戦後の立て直しをしてきたのは誰だったのか?それは一流大学を出た人ではないのです。ソニーやホンダを作った人は一流大学出ではありません。生え抜きのエンジニアだったりするわけです。つまり、“異能の人を連れてこなければいけない”とか“異能の人であるべきなんだ”ということを、われわれは未だにきちん受け入れることができません。“あいつは政治家タイプなのかもしれない”とか“営業タイプなのかもしれない”というふうに思い込みすぎています。それは、ものすごく危険なことではないかと思っています。このN/S高の出身者の中にも、国家を担えるような人材がいるかもしれません。“国家を担ってもいいんだ!俺に担わせろ!”というキャラクターがN/S高から出てきて欲しい!ですから諸君には頑張っていただきたい。そして、おじいちゃんが安心して死ねるようにしておいてください(笑)。それが無いと死にきれません。」 「突然、政治に参入しようっていうのも、全然間違いではないっていうことを知ることができた気がします。」(ほりえ) 富野由悠季先生 (富野監督)「全くそう思います。むしろ、ぼくのような立場に立った時に、こういう話ができるようになってしまった時に、“まずかったな!”と思ったこともあります。今みたいな理屈で考えるのだったら、“どうして20年前からできなかったんだよ?”と全部自分に帰ってきているんです。ぼくにそれだけの気力が無かった。“政治家になろう!”というふうには絶対に思えなかった。やはり自分の中に欲がなかったのか?そういうことを真剣に考えていなかったかもしれない・・・と反省している自分がいる。そう気が付いたから“しゃべるしかない!同年齢から嫌われてもいいからしゃべろ!”と思うようになりました。」 「僕ね、もう少しここに来る皆さんが、違うタイプの人かと思っていました。すごく安心しました!とても嬉しかった!」 (富野監督)「今日はこういう形で、ぼく自身も実をいうと、皆さんのお顔を拝見するまで、皆さんのことを信用していませんでした。言葉だけで誰が信用しますか?“N/S高がこういうことをやっていて、こういうようなカリキュラムがありまして、こういうような生徒がいまして、こういうところの講師をしてくれませんか?”と大人は平気で言います。けれども、こうして皆さん方の顔を見ることができたので信用することができました。これをもっと、実効性のあるものにしていきたいとも思っています。もし次の講義を設定していただけるのであれば出ます。何度も言います。“ぼくの同年代から嫌われようが何しようが、嘘をしゃべる気はないから、しゃべってもよければ、しゃべりたい!”と思います。ぼくね、もう少しここに来る皆さんが、違うタイプの人かと思っていました。すごく安心しました!とても嬉しかった!」 リアル受講会場 【特別授業】後のアンケートより 富野先生の特別授業を終え、受講生よりアンケートを実施。多くのコメントが寄せられました。(以下主な回答) *富野さんの考えになるほどと思った。知識は経験なんだなと思うようになった。 *重めの鉄球が飛び回ってた感じのライブだった。…来年受験だけど僕はこれからどうすればいいか分からなくてもいいなって思った。 *知識とは一流の大学を出てやっと得られるものだと思っていたが、そうではなくいろんな物事を体験して目で見て地に足つけて体感してやっと得られるものだという変化があった。 *当たり前を当たり前と思わないことの重要さを改めて知った。 *将来のことは高校生で確定させることではないと思った。 *大人の形式みたいなものに飲み込まれずに自分の考えを深めていきたいと思ったことと共に、富野先生が仰っていたように体験、自分の肌で感じて自分の頭で考えるということをしていきたいなと思いました。 *私は将来の目標があります。しかし、自分を決めつけて選択肢を狭めるのではなく他にもある可能性も考えながら生活していきたいと思います。たとえ将来の決まった道がなくてもあったとしても、遠回りして様々な事を勉強したり、自分の能力を見極めて自分らしい生き方を探していきたいと考えました。 *今までの自分にあった考え方の根本を揺らがせるような講演で、体感することが大切だと思うようになった。 *リベラルアーツを学ぼうと思った。名作を学び、表の情報だけではなく、自分で体感、体験して生きていくことを大切にしたい。そして、何かに対して、本気で取り組んだ過程には価値がある、その過程を人にぶつけられる人間になりたい。今の夢ビジネスに踊らされず、自分の軸を持って、自分と向き合って、自分のやりたいこと、ライフミッションを探して行こうと改めて思った。とりあえず、明日から、古事記、世界文学集、を読もうと思う。 *富野監督は授業中もとても刺々しい事を言う事がありましたが、自分にとってそれが今までやっていなかった事に挑戦する為のいい刺激になったと思います。 *もっと勉強して、知識を得ること以外にそれを実際に体験して自分のものにするというプロセスまでやる、という事を忘れないでいきたいです。 *ネットで読んだだけのような言葉だけのものは知識とは呼べない、というのがとても自分に刺さった話で、これから行った事のない場所に行ってみたり、体験としての知識を得ようという考えが自分の中で生まれました。 *さまざまなワークショップや体験活動に参加することで、頭でっかちな人間にならないように努力したいと思いました! *授業ありがとうございました。このような業界の先生に聞く!!のような会では基本みんな同じようなことを言っていてあまり学びがないと思っていましたが今日はずっとこういう事を言ってほしいと感じるものを富野監督は包み隠さず言ってくれてすごく嬉しかったです。もし第二回があるのならば私も現地でお話したいです。改めて、本日は貴重なお話をありがとうございました!!! *ガンダムという素晴らしい作品についてお話をお聞きすることも魅力的ですが、それ以上に富野由悠季さんという方の言葉や考え、熱量や空気感に触れることができたことはとても光栄で、刺激になりました。ありがとうございました。次回があれば、富野由悠季さんの人生や挫折を感じたこととそれをどのように乗り越えられたのか、今後の夢などをお聞きしてみたいです。 角川文化振興財団とドワンゴが取り組む【特別授業】とは? 「N/S高(N高等学校とS高等学校)」は、通信制高校の“制度を活用”した“ネットの高校” で、2016年4月にN高、さらに2021年にS高を開校しました。自分が学びたい分野を効率的に学習できるプログラムや選べるコースなどの特徴を活かし、生徒数は年々増加。2023年6月時点で両校合わせて2万5千人を超え、通学コースのキャンパスも全国43箇所に及んでいます。また2022年10月には「世界最高の学校賞」イノベーション部門のTOP3にも選出されました。 この度、公益財団法人 角川文化振興財団は、N/S高生が日々の学習で活用しているN予備校(株式会社ドワンゴが提供する学習コンテンツ)を利用して、卒業後の進路を決めるための礎となる<「世の中のリアル」を伝える>を主眼に、未来に夢を抱くN/S高の生徒達に向けた【学園生のための特別授業】の構築に取り組むこととなりました 。 これまでもN/S高は、課外授業の一環として、各方面の著名人を招いての特別授業を行ってきましたが、今回は、さらにバージョンアップし、生徒達が大いに興味を抱くであろう豪華講師陣を選抜。普段の授業で身につける知識や技術を超えた、自分の進路への気づきや発心につながる人生観を伝える授業を目指していきます。 【特別授業】ラインナップ・今後の豪華講師陣! 【特別授業ラインナップ】(N/S高の生徒限定の授業です) 【第四弾】 ●10月24日開催 宮部みゆき(作家)× 京極夏彦(作家) 写真/ホンゴユウジ 【実施決定】12月以降予定 ●五代目 江戸屋猫八(演芸家/動物ものまね芸) ●中野信子(脳科学者) さらに各分野にわたる豪華講師陣をラインナップ中 五代目 江戸屋猫八(演芸家/動物ものまね芸) 中野信子(脳科学者) 【実施概要】 ■対象:N/S高に在籍する生徒 ■配信:ライブ配信を基本とし必要に応じて教室受講(リアル)も実施 ■講師:作家、漫画家、学者、ゲームクリエーター、映像作家、アーティストなど (生徒のニーズに合わせて) ※講師が所属する施設やロケ地からのライブ配信なども予定 ※学園の生徒限定の授業だけでなく、広く一般に向けての授業公開も検討中
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『機動戦士ガンダム』シリーズのアニメーション映画監督富野由悠季先生がN/S高生に熱烈授業!(前編)
各界の豪華講師陣が「世の中のリアル」を伝える【特別授業】第三回を開催!「中高時代に自分の将来の職業を決められるなんて絶対にありません!!」 日本の文化振興に寄与するための事業を手掛ける公益財団法人角川文化振興財団は、<「世の中のリアル」を伝える>をメインテーマに、未来に夢を抱くN/S高の生徒達に向けた【学園生のための特別授業】を、株式会社ドワンゴが提供する学習コンテンツアプリN予備校を用いて、9月19日(火)に行いました。第三回目は、『機動戦士ガンダム』シリーズで有名な、アニメーション映画監督の富野由悠季先生をお招きし、【学園生のための特別授業 富野講座】と題して実施。全国から多くのN/S高生が参加し、あらかじめ選ばれた会場でのリアル受講者からは、熱い質問や相談も飛び交い、手に汗握る盛り上がりを見せました。 (特別授業の内容を抜粋して、前編、後編の2回にわたり採録しております。) 授業開始早々、富野監督の叱責が炸裂!! 司会者から冒頭「一言ご挨拶を」のお願いに、「富野由悠季です!」と本当にたった一言の挨拶だけでマイクを置き、会場が笑いと拍手の和んだ雰囲気に包まれた特別授業。続けて司会者が富野監督の経歴紹介を始めるや否や一転、「わざわざ紹介する必要はないと思います。こういうことは時間の無駄。知らない人はネットで調べてください!以上、次行きましょう!」と一喝。ただならぬ緊張感を漂わせながら授業はスタートしました。 N/S高生が思うこと 富野監督に聞いてみた! これまで富野監督の作品に触れてきたN/S高生が思っていることを、受講会場にて参加の生徒たちに質問してもらいました。 「監督が今、10代だったら何を目指しますか?」(どら焼き) 富野由悠季先生 (富野監督)「そういう質問は、80歳を過ぎた年寄りにはナンセンスです。というのは、ぼくはもう死んでいくための準備を始めました。身体の自由も利きません。苦しまずに死ぬにはどうしたらいいのかを考えています。ただ、あえて、どら焼きさんの質問に答えるならば、こういうことです。“高校時代から何になりたいか決めろ!”と学校とか先生とか大人が言ったりしますが、そんな目標がきちんとある人がいたら教えて欲しいのです。なのに大人たちは、平気で言いますよね。“俺さ、まだよく分かんないんだよね”という気分を分かってくれない大人が、ものすごく多いと思いませんか?そういう大人社会に入っていってどうなるかというと、だんだんバカな社会人になっていくんです。」 「ちなみに富野監督が10代の頃はどんな学生だったんですか?」(司会者) (富野監督)「出来の悪い学生でしたので、未来への希望は一切持っていませんでした。ただ何となく中学高校時代から好きで、“こういう方向しかないだろう”と思っていた職業が映画監督でした。ですが、ぼくが大学時代に映画産業が徹底的に衰退してしまって、大学3年時には、映画会社が新規採用を一切しなくなってしまったんです。考えても絶望感しかなかったので、大学4年のときには、就職のことは一切考えませんでした。ただ偶然、新聞の3行広告に、虫プロダクションが新規採用をするという募集が一回だけ載りました。それに応募したら受かったので、この職業に入ったということです。そうしてアニメみたいな嫌いなものをやるようになってしまった、というのがぼくのキャリアです。だからアニメの監督を目指していたなんていうことは金輪際ありませんでした。つまり学生時代までのことを言うと、全く何にもない学生でした。」 「富野監督がガンダムを作る際になぜ明確な悪との戦いではなく、人々との戦争という形にしたのですか?」(仲やん) (富野監督)「順序が逆です。巨大ロボットものを作らざるを得ないんだから、戦闘シーンがなくてはならない。悪いやつがいなくてはいけない。だから初めから戦争があるところで物語を作れば、戦闘シーンが作れるわけです。それだけのことです。仲やんさんは、生真面目過ぎますね。もっとフレキシブルに柔軟性を持って物事を考えていくようにしてください。生真面目は宝かって言うと、生真面目は良いことなんですが、生きていく上では武器になりませんという側面は覚えておいて下さい。」 「ロボットを戦わせるということが先にあったというのですね?」(司会者) (富野監督)「ガンダムで大事なのは、宇宙人の敵は出てこないということです。それまでの巨大ロボットものの敵は、全部宇宙人でした。なぜかというと子供たちから見たら、敵が宇宙人の方がわかりやすいからという大人の理屈です。これって子供をなめてませんか?子供をバカにしてはいけないと思ったので、ガンダムでは20数メートルにしました。“戦闘機の大きさと同じです。一人乗りの乗り物にします。一人乗りの兵器にします。だから人型でもコックピットに人が乗ります・・・”というふうに説得しました。放送されて視聴率が取れれば良かったのですが、悪かったので打ち切りになってしまいました。そういう現実がありました。」 「敵が人間で、人間同士のドラマが作れるようになっていたので、“はい、2本でも3本でも作ってみせます!”と言えたのです。」 富野由悠季先生 (富野監督)「ところが、放送が終わった瞬間に人気が出てしまったというのが、ガンダムの持っている宿命です。これが世の中というものです。それはぼくにはコントロールできません。ですから、打ち切りになった半年後に、“映画にならないか?”という話が出てきたときに、敵も人間にしているし、ドラマがそこにはあったので、“はい、作って見せますよ!”と即答できました。それでテレビの再編集もので映画を作りました。公開した瞬間に、応援団のファンがバーッ!とついてきたので、“即2本目を作ってくれ!”となったのが、ガンダムの事情です。これも作り手にはコントロールできないことです。その時に、そういう状況に対応できる自分、対応できる作品にしておいて良かったと思いました。つまり敵が人間で、人間同士のドラマが作れるようになっていたので、“はい、2本でも3本でも作ってみせます!”と言えたのです。これは、生真面目だけでは作れません。キャンユーアンダースタンド?」 「映画の根本って何?」 (富野監督)「ここ20年ぐらい骨身に沁みていることがあります。“映画の根本って何?”ということです。最近、ようやくわかってきました。それは恋愛映画です。つまり人の話でしかないのですね。結局、一般客は人の物語しか観ていません。“自分はメカものが好きだ!”とか言っているようなオタッキーな人でも、10年ぐらいすると、“あのアニメは良かったよね”“あの映画は良かったよね”と中身は恋愛話をしています。我々は男と女に分化して、成長して、文化を作ってきた人類です。そういう生物ですから、根本的な恋愛話にスーッと入っていけるのでしょう。たとえば、アガサ・クリスティの良く出来たミステリーを観ていると、強いて人間関係を描いていて、恋愛映画として作っているところがあります。そこを絶対に間違ってはいけません。今、皆さんはアニメも当たり前のように観るようになってきました。気をつけて欲しいのは、絵にごまかされないで、“自分たちは一体何を見ているのか”、結局“人の物語を見ているんだよね”という部分をとても大事にしていただきたい。これだけは、千年経っても二千年経っても、人類は変わりません。オスとメスに分かれているのですから。それを覚えておいてください。」 「中学高校時代に将来の職業を決められるなんてことは絶対にありません。」 (富野監督)「つい最近、もの凄くびっくりする映画を観ました。『硫黄島からの手紙』です。メインの主役をやっているのが嵐の二宮和也さん。あの映画に出ている二宮さんは、演技をやっていないんです。そのまんまなのに、どんぴしゃりなんです。二等兵で、硫黄島で最後まで生き残っていく役を演っています。“こんなに演技者だったかな?”と思って、プロダクションノートで調べました。そうしたら“俺、アイドルなんだよね”と平気でクリント・イーストウッド監督の前で言っていて、カメラの前に立って、自然のままで演っていたそうです。“あれは演技ではなかった”とも言っています。けれども『硫黄島からの手紙』では、もの凄い役者を演っています。これも人ができる可能性なのです。それは“演技を目指してやっていたんですか?違いますよね”ということです。つまり、生真面目にものを考えて、これからの自分の将来を決めつけるようなことは一切しないでくださいという教えです。“こういう事態に陥った”とか、“こういう会社に入ってしまった”とか、“こういう仕事をしなければならなくなってしまった”という時に、“へこたれずにそれをやってみせる”という気力、胆力、学習能力を作っていってください。それを積み上げていくと、30歳過ぎには、何とか自分のやりたい方向性というのは見つかります。ですから、中学高校時代に将来の職業を決められるなんてことは絶対にありません。」 「生真面目にやることが重要なことではありません。」 富野由悠季先生 (富野監督)「小さい時から“バイオリンを稽古してました”とか、“スケートをやってました”という人すべてが成功して、オリンピックで金メダルを取れるわけではありません。そうではない人がある日、突然出てきて、金メダルを持っていってしまうようなことも起こります。そう考えたときに、生真面目にやることだけが重要なことではないんです。自分が立たされた現場や現実の中で、“こういう職業しかできないんだ”とか、“こういうところにしか居られないんだ”とか、何よりも東京で仕事ができないようなことが起っても、“俺はもう本当に都落ちもいいところだ”と、そこで人生をあきらめてしまうのは簡単なんです。ところが人の暮らしというのは一度、こういうふうに生かされてしまったときに、そう簡単に人生をあきらめるわけにいきません。そのときに、“5年後、10年後にも生きていられる私”を作るためにはどうするか、というふうに考えてほしいのです。つまり現実を嫌がらずに見ていく。それを実感していくという能力を身につけてください。それを乗り越えていくための忍耐力というものを身につけてください。今日、わざわざ大阪から来た生徒さんも居ます。大阪から来たという努力を持って帰っていって欲しいから、ぼくは嘘の話ができないのです。とにかく“現実に耐えろ!”という自分を作ることはとても大事なことです。“好き嫌いなんか実は言っていてはいけないんだ!”というのが人生なのですから。」 「アニメの中で絵に頼らないで物語で見せていくということをおっしゃいました。最近、アニメや映画を観る中で、物語って一体何の意義があるのだろうということを考え始めました。インターネットを見ても答えられる人が誰もいなかったので、監督にお聞きしたいです。」(ゆうり) (富野監督)「簡単に説明出来ていたら、ぼくはもっと有名になっています(笑)。物語の本当の意味とか意義とかが分からないから、今日までこういうふうに、ぐだぐだ生きてきたといえます。実をいうと、“物語って意味があるのか?”については、基本的には、物語そのものに意味があります。でも、その意味というのは、必ずしも簡単には伝わらないところがあります。そして一番伝わる物語というのは、童話であったり神話であったりするものです。“何で私は生きているの?”“生かされているから生きているんだよ”という一番ベースになっていることを物語っているのが、童話や神話だったりします。基本的にそれを“はなから認めろ!”という物語構造を持っています。これを100回ぐらい聞かされているうちに、そういうものだなと納得していくことができるのです。それを人間というのは、7~8歳、10歳ぐらいまで繰り返していく中で、それぞれが物語を作っていくんでしょうね。」 「“自分の人生と違う生き方があるんだな”ということを学習していくんです。」 (富野監督)「それともう一つ。物語があることによって、“自分の人生と違う生き方があるんだな”ということを学習していくんです。そういう意味で、物語というものは必要です。ぼくにはそういう説明しかできません。たとえば『ロミオとジュリエット』の悲恋話があります。つまり、恋愛をして、ちょっとした誤解が起こったことによって、ジュリエットが死んでしまい、ロミオは自分も後追い自殺をしてしまう。ところが実は、ジュリエットは死んだのではなくて、偽の薬によって一晩寝ていただけだった。目覚めた時にロミオが死んでいるのを知ったジュリエットは、改めて自殺をするという話。そういうようなカップルがいたとすると、“俺はそんな馬鹿なことはしないよね”と思うのも一つの教訓です。そういう教訓を10か20ぐらい、小学校ぐらいの間に取り込んでおくと、自分の中に物語というものができてきます。“俺はこうしない”“私はこういうふうにはしない”“私はこういうふうにして、もっと素敵な人を別のところで見つけてみせるんだ”というような決心をしていくことで、人生っていうのは始まっていく気がします。だから童話とか神話が持っているものを学習する必要があるのではないでしょうか。」 「物語には、われわれが生きていく上での礎(いしずえ)になる指針が含まれている、ということを知る必要があるのです。」 富野由悠季先生 (富野監督)「古事記に出てくるような物語を、子供向けでも、漫画でもいいので読んでおく必要があります。つまり古事記にある国生みの話には、“神様が剣を立てて、そのしずくが落ちたところに佐渡島が出来た!”というようなバカな話があります。それは本当にバカな話なのかというと、実は地球の生成ということから考えてみると事実なんですね。そういう物語を2000年前の人がどうして知っているのかというと、初めは想像力なのです。その想像力を積み上げていって神話というものができてくる。神話というものができるような時代になって、政治というものが起こってきたときに、政治学的に利用されていくような神話というものがさらにできてくる。日本の場合には、古事記という神話は、山の中で政権を取った人たちが作った話なので、海の話がほとんど出てこない。そのために古事記に日本人みんながとらわれてしまって、考古学者が九州地方、つまり海の民が生んだ文化というものを全部捨ててしまった。それでは申し訳ないということで、天照大神を作ったという話があるのですが、みなさんはご存知ですか?つまり物語というのは色々な要素が入っているということ。物語には、われわれが生きていく上での礎(いしずえ)になる指針が含まれている、ということを知る必要があるのです。」 「残念なことに、今のネットでは、表面(おもてづら)だけの説明しかしていません。」 (富野監督)「それとゆうりさん、もうひとつ重要なことを言っていました。“ネットで調べて”とか、“ネットで良く説明をしている人がいない”とか。ネットできちんと説明できる人はいません。残念なことに、今のネットでは、表面(おもてづら)だけの説明しかしていません。ネットでは一見色々なことを教えてくれているようですが、百科事典の項目をそのまま並べているだけです。それでは、みなさん、百科事典って読みますか?つまり百科事典みたいに並んでいる知識がネットにはあふれていて、それをクリックしてその内の何行かを読んで勉強したような気になっているだけです。それではほとんど勉強になっていません。本当に意味を知りたいと思ったら、出典となっている本を読むというところまで行かない限り、知識と言うのは身に付きません。それだけは間違いなく承知してください。そういう意味では、ぼくはネットでの教育論を基本的に全否定する人間なので、実をいうと、このN/S高のシステムは大嫌いです。」 「今、コメントの方でも、“思考の流れを知る必要があるということでいいですか?”という質問があったのですが、いかがでしょうか?」(司会者) (富野監督)「言葉でいえば全くそうなんですが、これが実は落とし穴です。では、“あなたはものを考えるという思考をしていますか?”ということです。思考していることがなくて、その流れだけをつかみとっていたら、ネット上とかパソコン上で、ウィキペディアをバーッと流して見せているようなものであって、そんなものは知識でも何でもありません。知識にしなくてはいけないのです。知恵にしなくてはいけないのです。ものすごく分かりやすい言い方をします。日本には四季があります。日本の国土で、農民たちは九州から北海道までの土地で、土地の癖を天候と相談しながら、作物を作り、作物の品種改良をやってきました。それが知識です。知識というのは言葉ではありません。体感で伝えていくものです。体感を積み上げていくものです。体感とは、その場の気候風土というものと密着しているものなのです。」 (富野監督の授業内容は、後編:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000123526.html に続きます。) 角川文化振興財団とドワンゴが取り組む【特別授業】とは? 「N/S高(N高等学校とS高等学校)」は、通信制高校の“制度を活用”した“ネットの高校” で、2016年4月にN高、さらに2021年にS高を開校しました。自分が学びたい分野を効率的に学習できるプログラムや選べるコースなどの特徴を活かし、生徒数は年々増加。2023年6月時点で両校合わせて2万5千人を超え、通学コースのキャンパスも全国43箇所に及んでいます。また2022年10月には「世界最高の学校賞」イノベーション部門のTOP3にも選出されました。 この度、公益財団法人 角川文化振興財団は、N/S高生が日々の学習で活用しているN予備校(株式会社ドワンゴが提供する学習コンテンツ)を利用して、卒業後の進路を決めるための礎となる<「世の中のリアル」を伝える>を主眼に、未来に夢を抱くN/S高の生徒達に向けた【学園生のための特別授業】の構築に取り組むこととなりました 。 これまでもN/S高は、課外授業の一環として、各方面の著名人を招いての特別授業を行ってきましたが、今回は、さらにバージョンアップし、生徒達が大いに興味を抱くであろう豪華講師陣を選抜。普段の授業で身につける知識や技術を超えた、自分の進路への気づきや発心につながる人生観を伝える授業を目指していきます。 【特別授業】ラインナップ・今後の豪華講師陣! 【特別授業ラインナップ】(N/S高の生徒限定の授業です) 【第四弾】 ●10月24日開催 宮部みゆき(作家)× 京極夏彦(作家) 写真/ホンゴユウジ 【実施決定】12月以降予定 ●五代目 江戸屋猫八(演芸家/動物ものまね芸) ●中野信子(脳科学者) さらに各分野にわたる豪華講師陣をラインナップ中 五代目 江戸屋猫八(演芸家/動物ものまね芸) 中野信子(脳科学者) 【実施概要】 ■対象:N/S高に在籍する生徒 ■配信:ライブ配信を基本とし必要に応じて教室受講(リアル)も実施 ■講師:作家、漫画家、学者、ゲームクリエーター、映像作家、アーティストなど (生徒のニーズに合わせて) ※講師が所属する施設やロケ地からのライブ配信なども予定 ※学園の生徒限定の授業だけでなく、広く一般に向けての授業公開も検討中
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